Photo : 大橋 富夫
 埼玉県立大学は、99年4月に開校した看護福祉系の四年制新設大学と短期大学とが併設された大学である。この大学は、医療の高度化・専門化がすすむ一方で、地域に根ざした福祉サービスの前線においても他分野の人と連携した実践活動ができる人材の養成を目的としている。この分野を研究し教育する場では、従来の学部や学科という枠組みをまたぐような建物の使い方が望ましいだろうし、時間が経つにつれて実際そのような使い方が進行するだろう。設計するうえでは学部や学科の固有性を完結させたり閉鎖的にする方法は、この大学の場合は適切でないと思われた。そして多くの大学キャンパスに見られるような分棟方式とせずに、配置計画において学科の違いを敢えて分けない一つの建物として提案した。
 一つの建物として設計が始まったが、途中でそれぞれの場所ごとに対応しなければならない様々な問題や取り合いが生じた。しかし、コンペで提案した基本的な配置計画と構成方法の考え方に基づいて、デザイン的にも技術的にも個別の解決方法を取るのではなく、建物全体の中での相互関係の決定ができるだけ明確になるようシステマティックに見える方法を採用した。その結果、この大学は都市基盤があたかもそのまま建ち現れたような風景をつくりだす建築になったのだと考えている。
(GA Japan39)
Photo : 大橋 富夫
設計 建築 山本理顕設計工場
   構造 織本匠構造設計事務所
      構造計画プラスワン
   設備 総合設備計画
   外構 創和計画
   家具サインプロデュース エーワークス
   家具デザイン 近藤康夫デザイン事務所 Hデザインアソシエイツ リーディング・エッジ・デザイン
   サインデザイン 廣村デザイン事務所
   音響設計 永田音響設計
   色彩計画・テキスタイルデザイン 田口デザイン事務所
   照明計画協力 ライティング・プランナーズ・アソシエーツ
   植栽計画協力 S.E.D.O.(オンサイト)
   アートワーク・コーディネート コトブキタウンアート事業部
   アートワーク 秋岡美帆 Charles Ross 舟橋全二 方振寧 宮島達男 望月菊磨
   監理 埼玉県住宅都市部営繕課
      埼玉県住宅都市部設備課
      山本理顕設計工場
      織本匠構造設計事務所
      構造計画プラスワン
施工 大学棟工区 大林・日本国土・株木・ユーディーケー特定建設工事共同企業体
   短大棟工区 清水・大木・松栄特定建設工事共同企業体
   本部棟工区 東急・和光・川口土建特定建設工事共同企業体
   図書館棟工区 三井・三ツ和・松永土建特定建設工事共同企業体
   体育館棟工区 高元・スミダ・野尻特定建設工事共同企業体
敷地面積 102,265.37m2
建築面積 34,030.77m2
延床面積 54,080.11m2
階数 地上4階(大学棟、研究研修センター棟、短大棟、本部棟)
   地上3階(図書館棟、学生会館棟)
   地上1階(屋外倉庫、守衛室、駐輪場)
構造 本部棟 鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 鉄骨造
   大学棟・研究研修センター棟・短大棟・学生会館棟・体育館棟 鉄筋コンクリート造 PC造 鉄骨造
   共通施設棟・図書館棟 鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造
設計期間 1995年7月〜1996年10月
施工期間 1997年7月〜1999年1月